1年も経ったのに、被災地の復興は順調に進んでいるようには見えません。
多くの方が送った義捐金も、被災者の方々ひとりひとりにきちんと渡っているのか、定かに見えないもどかしさがあります。
しかし、この一年で新たに生まれたものもあります。
いまや日本最大級の被災地支援団体に成長した「ふんばろう東日本支援プロジェクト」も、そのひとつです。
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」は、被災者の就職支援につながる「重機免許取得プロジェクト」や、被災者が必要としているものをAmazonの「ほしいものリスト」でマッチングするなどの秀逸なアイデアによって支援活動をしている団体です。
早稲田大学大学院講師の西條さんが、ボランティア経験ゼロの状態からまたたく間に作り上げたその発想と行動には舌を巻きます。私も、ここから被災地の商店で支援物資を購入し被災地へ届ける「復興市場」というショッピングサイトを知り、物資を送りました。
本書は、物を届けるだけでなく、心の支えとなる手紙を届ける「おたよりプロジェクト」に全国から寄せられたメッセージや、それがきっかけで始まった往復書簡、被災者からプロジェクトに送られた手紙などを収録した一冊です。
これを読むと、被災地の現実は我々が何となく考えていたような甘いものではないことが今さらながら判ります。
特に、仮設住宅に入居した人に与えられる支援が、借上げ住宅の入居者や半壊した自宅で頑張っている人には全く与えられない、情報すらない、などの状況や、公平に行きわたることを優先しすぎて、数の少ない物資は配らず倉庫に置いたままにしている・・などの実態を知ると、赤十字に義捐金を送ってあとは行政が何とかするだろうと高をくくっていてはならない!と気づかされます。
「忘れられることが一番怖い」
被災者が書いてきた手紙に散見される言葉だそうです。
被災地の復興はまだまだこれから。多くの経済的・物質的支援とともに「あなたたちのことを思っている」という気持ちを保ち続ける必要があるはずです。
「忘れない」「支援をし続ける」
そのことを、今日はもう一度決意しました。
読むべし。
→「ふんばろう東日本支援プロジェクト」ウェブサイト