2011年10月08日

「通貨」を知れば世界が読める 浜 矩子

著者は、同志社大学大学院ビジネス研究科長・教授。
一橋大経済学部卒業後、三菱総研を経て現職。政府の金融審議会、国税審議会、産業構造審議会の委員でもある。しばしばTVにも登場する。

軽く読める新書だし、大学教授が著した専門書というよりも、元・三菱総研のエコノミストが書いた解説書といった趣きで読みやすい。基軸通貨をめぐる攻防の歴史や、ドルの基軸通貨としての寿命はとっくに終わっていたのにもかかわらず、延命を願う力の働きが世界経済をここまでの事態に引きずってきてしまった状況が理解できます。

以下メモ

・特定域内で、「これを持っていけば必要な商品やサービスと交換できる」と認識されているものが貨幣。貨幣に足が生えて遠くまで通用するようになると通貨。(世界中で決済に使われる通貨が基軸通貨)

・基軸通貨には価値の保持と大量に幅広く流通されねばならないという矛盾する役割が求められる。

・現在の基軸通貨であるドルは、自らそのポジションを放棄し始めている。

・成熟し、世界最大の債権国となった日本が、いつまでも輸出産業だのみで円安を願うなど大人げない。

・円は「隠れ基軸通貨」である。日本の低金利が円キャリートレードを生み、アジアのバブルを引き起こした。日本のもつ巨額の資金は、強大な力を持っていることを自覚すべき。

・中国は次の基軸通貨を狙うかのような素振りを演出しているが、「とてもそんな余裕はない」のが実情。

・オバマの輸出倍増計画=ドル安志向により、今後はますます円高。1ドル50円時代の到来を想定して対策せよ。(管理人:そう考えるとアメリカ主導のTPPは「アメリカの輸出を伸ばすため」の戦略に見えます。自分は基本的に国を開き貿易を促進するのに賛成ですが、日本がお金を毟られないよう注意が必要。)

・ユーロは各国ごとの経済財政事情の違いを適正に調整する仕組みが欠けており、今後も難しい運営が続く。最悪の場合、崩壊もあり得る。

・ドル基軸通貨亡き後の世界に考えられるのは

1)金本位制の復活
2)世界共通通貨の創設

だが、どちらも望みは薄い。共通通貨+各国通貨をさらに下から地域通貨が支える構造が望ましいのではないか。

・・・と、ヤヤコシイ世界経済を大づかみに判りやすく整理してくれます。

通貨の近代史をざっと俯瞰できますし、ドルという基軸通貨が終幕を迎えている現時点の位相をあらためて確認できます。

ただ、1ドル50円時代が来るという予想の確からしさは、今一つ納得できなかったし、基軸通貨亡き後の世界予想も「う〜ん・・」といったところ。それでも、簡単にさあっと読み通せるわりに視野が展開する割合は大きく、読んでみる価値は感じました。店頭で見ると、なんだか売れているらしいです。

読むべし!






posted by 武道JAPAN at 15:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(政治経済) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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