2011年07月03日

これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本 高橋洋一

著者の高橋氏は、、現在ベストセラーになっている「日本中枢の崩壊」を著した古賀茂明氏と同様、改革を志した挙句に霞ヶ関を追われた元官僚。
東大理学部数学科を出たのち東大経済学部に再入学、卒業後に大蔵省(当時)に入省。小泉政権で政治任用されて一連の構造改革を手がけた。研究者としてプリンストン大学に在職中、後にFRB議長となるベン・バーナンキに学び、金融政策にも詳しい。
「埋蔵金」を発掘するなどしたため財務省から敵視され、霞ヶ関を去った。(その辺りの経緯は「さらば財務省!」に詳しい)

本書では、特に震災後をふまえた日本経済の問題解決を論じます。以下メモ。

・・・

現行の「災害復旧負担法」では、元の状態への「復帰」が原則。だが今回は、元通りにするのではなく新しいグランドデザインが必要。より国際競争力のある新しいインフラを作るためにも、まずこの枠組みの撤廃を。

復興には財源が必要。逐次小出しはダメ。20〜30兆円ほどを一気に手当てし、多すぎれば後に減額するくらいで良い。
予算の使い方は新設する「東北復興院」に思い切って権限委譲する。復興院のトップは、復興後に「東北州」の首長になると良い。

財源確保に増税は絶対ダメ。震災のダメージに追い討ちをかける。100年に一度の事態には、負担を時間軸で平準化できる国債発行→日銀引受け+埋蔵金で手当てすべし。

国債の日銀引受けは「禁じ手」と言われるが、「特別な事由」がある場合には国会の決議により引受けさせることができる。
日本は震災前からデフレであり、通貨供給量を増やしてインフレ方向に導くためにも、円安方向に導いて輸出産業の息を吹き返すためにも、日銀引受けは効果的。

そもそも、実は国債の日銀引受けは毎年一定額行っている。財務省や日銀は、「それは日銀が既に保有する国債の満期に伴う借り換えだけ」と言うが、現在日銀が保有する国債の償還額は30兆円、対して今年度予算では12兆円しか買わない。つまりあと18兆円引受けできる。なのに増税を優先する。

「復興構想会議」は増税をもくろむ財務省に操られている。議長の五百旗頭(いおきべ)氏は、政治・歴史学者であり経済の専門家ではない。それが、復興のアウトラインも決まらぬうちから「増税」を言い出した。管政権が終わっても、後継候補の野田財務相や仙石副長官、与謝野経済財政相、自民党谷垣氏などみな増税路線。

菅首相が支持率回復したければ有効なカードは「増税なし」「東電解体」「脱原発」。一番容易な「脱原発」ポーズを浜岡原発停止で始めた。

かつて日本軍は「兵は一流、将校は三流」と言われたが現在も同じ。自衛隊や消防庁、現場で頑張る被災者達は素晴らしいのに、政治は三流芝居。特に政治家の資質が劣化し官僚に負けている。

官民癒着構造が国民不在の政治を作り出している。
経産省から東電に多数の天下りがある。原子力安全・保安院は経産省の植民地。天下りは官僚が二重三重に収入を得るだけでなく、監督する側と規制される側が癒着し、チェック機能が壊れる。原発事故の遠因もここにある。天下り根絶はこの観点からも必要。

日銀にも財務省から天下りがある。財務省の増税路線にとって日銀の低金利・低成長は好都合。(もちろん国民には良くない)

リーマンショック後、各国は通貨供給量を増やしたが日銀はほとんど増やしていないため円高。つねに円高圧力がある。震災後、1ドル76円という急激な円高局面があったが、投機筋にそこを狙われたのではないか?

政府の東電救済スキームでは国民負担が最大化する懸念がある。解体し、発電送電の分離が望ましい。震災の起きた3月11日に閣議決定された電力買取法案が成立すれば、発電事業に他業種からの参入が起こり、電力料金が安くなる仕組みがスタートする。

・・・

などなど、構造改革をすすめて成長の種を作り出し、既得権集団を解体して国民のための政治・行政が行われる道筋を主張しています。元官僚だけに、役人のずるい手口を知悉しています。役人が天下りしたがる当たり前の構図もさばさば書いています。

「これからの日本経済の大問題がすっきり解ける」と題したわりに、途中重複する部分も多く、やや軽量級な印象ですが、構造改革・規制緩和・公務員制度改革をすすめ、政治でも行政でも産業分野でも古い手法にしがみつく既得権益集団を排し、新しい産業を興す・・衰退を受け入れるのではなく成長する方策を探し求める、との方向性には大いに賛成です。

「もうこれ以上日本は成長しない」と諦めてしまえば、社会保障を賄うために増税し、皆で窮屈な生活に耐えていく未来しか描けません。子供たち世代にそんな未来を残すわけにはいきませんし、諦めるのは早すぎます。世界中、問題を抱えていない国などないし、他の多くの国と比べて我々は遙かに恵まれた条件を持っています。まずは、お上任せにしないで国民が情報リテラシーを磨き、正しい判断力を持ちましょう。

読むべし!





posted by 武道JAPAN at 22:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(政治経済) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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