2011年05月14日

日本はなぜ世界で一番人気があるのか 竹田恒泰

まずこのタイトルがうまいなあ、と思います。
おそらく多くの人は「えっ、日本って世界で一番人気があるの?」と思うでしょう。そこが判っていてタイトルを選んでいる。じっさい、本を開くとまず冒頭に「米国人も韓国人も自国が好きですが、どうも日本人は日本のことを愛せていないし良く知らないようです」とあります。本当にそのようですね。

著者の竹田さんは、旧皇族・竹田家に生まれた明治天皇の玄孫とのこと。慶應義塾大学法学部卒。2006年「語られなかった皇族たちの真実」で第15回山本七平賞受賞。

本書では、まず英国BBCが行った調査で、日本が「世界に良い影響を与えている国」に3年連続で1位となった事実を紹介。日本に否定的なのは世界中で中国・韓国くらいで、インドネシアやフィリピンなどアジアの国々はきわめて親日的。特に台湾は「自国より日本が好き」という人が多い。(管理人:今回の大震災でも、一番多額の義援金を集めて送ってくれたのは台湾でしたね)

そこから、日本の文化・国柄・天皇など、幅広く日本の魅力を紹介します。
新書なので、幅が広いぶん掘り下げは浅いですし、少々強引に日本礼賛を持ってきている部分もありますが、まずは入門用として中高生にも読んでもらいたい一冊です。巻末に北野武さんとの対談もあります。以下メモ。

・・・

・ものづくりの匠は伝統工芸から建築物まで世界で群を抜いている。イラクやカンボジアで「突然走り心地が良くなったな」と思うと日本のODAで作った高速道路だったり、ウズベキスタンで震災に唯一倒れなかった建物が、日本のシベリア抑留者によって建てられたオペラ劇場だったり・・など数知れない事例がある。

・東京は世界一の美食都市。3つ星レストランはパリより多い。飲食店の数は12倍もある。これは日本料理がきわめて専門分化し(寿司、天ぷら、鍋、うなぎ、しゃぶしゃぶ、ヤキトリ等)多彩であるため。バリエーションと専門性は、どこの国も追随できないレベル。

・ジダンなど多くの一流選手が「キャプテン翼」の影響でサッカーを始めた。主人公の翼が物語の中でFCバルセロナに所属するとライバルのレアル・マドリード幹部が「なんで翼をうちに入れないんだ!」と激怒。
イタリアバレー界のエース、ピッチニーニは「アタックNo.1」の鮎原こずえと戦うのが夢だった。

・日本はひとつの王朝(天皇家)が神話から連綿と連続する世界最長の歴史ある国。政治体制は時代とともに変更されたが国体は変わっていない。天皇は制度ではなく「はなからある(北野武さん)」存在であり、天皇がなくなれば、それは日本ではない。

・日本には宗教戦争や被征服民に対する価値観の押しつけがなく信教の自由が許されていた。出雲の国譲り神話にその原型が記録されている。(宗教戦争は世界中で終わりのない争いを生んでいる愚行)

・日本は、内戦や他民族の征服によって滅びることなく、国と文化を途切れず保持したため、古代の人々の価値観が残っており、それは日常言葉の中にも発見できる。
「いただきます」は「(食物となる動植物の)命を頂きます」で、料理人に対する感謝の言葉ではない。(「ご馳走様」は人に向けた言葉)
「もったいない」は、他国の語彙にその概念すらない。

・古代の価値や文化を保持した民族は、アメリカ先住民やヨーロッパのケルト、オーストラリアのアボリジニなどあったが、固有の国土・国家・言語を保持し、1億人以上の人口を保ったのは日本だけになってしまった。

・ニッポン人には日本が足りない。敗戦と共に占領軍の戦略によって過去の日本文明を否定し捨ててきたが、環境と調和して生きるすべを確立しなくてはならない21世紀にむけて、日本文明再興(ジャパン・ルネッサンス)の時がきた。

・・・

20年の停滞に落ち込み、自信をなくして忘れられたかのような日本に、東日本大震災によって世界の耳目が集まりました。
そこで多くの人々が驚愕したのは、大震災の中でも冷静に秩序を守り、互いに助け合う市民の姿でした。

コンビニで棚から落ちた商品を元に戻し、きちんとレジに並ぶ人々・通行の邪魔にならぬよう、端に寄って駅の階段に座り込むサラリーマン・徒歩で帰宅する人々に「トイレ有ります」と手書きの看板を出す商店・津波のせまる中で市民に警報を発し続ける市の職員・入院患者を屋上に搬送し、ともに留まった医師・まず中国人研修生を避難させた後で家族を探しに戻り津波に飲み込まれた専務・放射能の危険をかえりみず原発で戦っている人々のためにと温泉を再開した民宿・・
来日したカナダ人から「定年間際に自ら志願して原発に向かった男は無事でいるのか」と聞かれた時には、そんな話が外国にまで伝わっているのかと驚きました。

暴動や略奪が起きないことを驚きとともに報道する海外メディアがありますが、日本人のセンスからすれば火事場泥棒ほど恥ずべき卑しい行為はない。われわれ日本人にとっては当たり前の事柄が日本以外では稀有なことのようです。
ここは「世界最高の一般人がいる国」と言ってよいのでしょう。(→「私は日本のここが好き! ― 外国人54人が語る 加藤恭子(編集)」

その一方で、原発事故の対応と情報開示に関する政府・東電の不手際によってじょじょに不信感が生まれ、放射性物質を海に放出したことで日本への信頼は大きく毀損しました。残念でなりません。。今後は、和の精神を大切にする日本らしさを堂々と誇りつつも、危急の際のリーダーシップや、「想定外」を限りなくゼロに縮めるシミュレーション力、考え抜く力を磨くべきです。
そのためには、官僚的なルールの中に何もかも管理するのではなく、型にはまらぬ多様な異能者が活躍できる環境が望まれます。例えば、一教科のみで受験できる大学があれば、特定方面に突出した才能が育てられるでしょうし、中学・高校レベルからディベートを授業に取り入れれば、徹底的に考え議論する習慣が身に付くのではないでしょうか?いずれも、ほとんどコストを掛けずにできることばかりです。

・・・

3・11震災以降、なんども思ったのは「この国でよかった」という事です。
この国だから人々が助け合う。レストランにもコンビニにも募金箱が置かれ、赤十字には莫大な義援金が集まる。この国では、道路が、鉄道が、工場が、全力で復旧される。この国を、誰も憎んでいないから世界中が支援の手を向けてくれる。この国には、真の使命感を持って働いてくれる自衛隊がいる。そして国民に語りかけてくださる天皇がいる。

あなたも、もっと日本を好きになるといい。

読むべし!






posted by 武道JAPAN at 18:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(社会歴史) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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