2010年10月23日

ちょんまげぷりん 荒木 源

「ちょんまげプリン?」なんだそのタイトルは?

奥さんが図書館で借りてきて、何度も吹き出しながら読んでいたので気になって読み始めたのですが・・面白くて一気に読み切り、すぐ「ちょんまげぷりん2」を購入してしまいました。

180年前の江戸からタイムスリップで東京に現れたサムライ・木島安兵衛。見るもの聞くもの、何もわからぬ世界で行き倒れそうになった彼を助けたのは、6歳の息子を育てながら働くシングルマザーの遊佐ひろ子だった。
江戸に帰る手立てもないまま居候の身となった安兵衛は、ひろ子への恩義を返すため家事を受けもつことになるが、そこで意外な才能を発揮する・・

江戸生まれのサムライが、料理の腕を磨くうちにスイーツ作りに熱中し、コンテストに出て有名パティシエになる・・という荒唐無稽な展開に加えて、随所にあらわれるユーモアに何度も笑います。たとえば、スーパーでの買い物に関する安兵衛のメモなど秀逸です。

「入口ニテ籠ヲ取リ、欲スルトコロノモノヲソノウチニ入レルベシ。シカシ入レタルモノノ代金ハ出口ニテ徴収サルル仕組ナリ。調子ニ乗リテハ財布空トナルベシ」

そして全体を流れる小気味よいテンポと二転三転するストーリー。なによりも、サムライとしての信念を失わない安兵衛の立ち居振る舞いが魅力です。

「うちむきのことは女がするもの」と決め付けていた安兵衛ですが、ぞうきんがけ一つで家中をぴかぴかにし、インスタントやレトルト食品を排して手作りおかずを熱心に研究します。「やる」と決めたからには手抜きをしない、ものごとに向かう姿勢の真剣さが、刀を振り回して活躍するよりも、よほどサムライらしさを醸しだします。

「安兵衛語録」がまた素晴らしい。

・・・「(現代では)違うの。男と女、武士と町人、みんな平等。家柄も関係ない。才能があれば、なんにだってなりたいものになれるわ」
「あさましい世の中でござるな」
「あさましい?」
「そうではござらぬか。人は己をわきまえねばなり申さぬ。そのようなわきまえぬ心持ち、あさましいと言わねば何というのでござる」

「人には分というものがござる。分をわきまえて生きるのがまことの人の道と申す」

「男はやたらなことで泣かぬものじゃ」

「ならぬことはならぬと申さねば、子供には分り申さぬ」

「子供の横暴は、親が手伝いをさせぬことに一つの理由があると存ずる」

「子育ては家事のうちでも大業でござる。片手間には決してまっとうでき申さぬ。その覚悟が大事なのでござる」・・・

娯楽小説として楽しく読むうちに、現代の日本人が欠落させてしまった大事なものをあらためて教えられる、そんな一冊です。
自由・平等を否定する気持ちはありませんが、安兵衛の言葉を聞いているうちに、「日本で伝統的につちかわれてきた、社会を安定させる定まった型」や「一本筋の通った精神的な背骨」というものが、現代社会からは失われているのだなあ・・と思えてきます。

そして「ちょんまげぷりん2」では、逆タイムスリップで東京から江戸へ!
偶然でしょうが、ここのところ重大な問題になっている「検察による冤罪・ストーリーありきの事件ねつ造」と全くおなじ状況に主人公が巻き込まれ・・このあたりは、笑ってはおられません。ハラハラし通しの展開を、一気呵成に駆けぬけます。表紙を飾る、上條淳士のイラストも光ってます。

読むべし!






posted by 武道JAPAN at 17:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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