2010年09月22日

虐殺器官 伊藤計劃

こんな小説を読んでしまうと、次に何を読めばいいのだ俺は・・

途方に暮れます。
そのくらい重量級の作品です。

読みながら何度も思いました。

「これが処女作・・だと?」

筆者の伊藤計劃氏は、本書を処女作とする計3作を発表し、わずか34歳で早世しました。が、そういう話題性を抜きにしても、本書が抜きん出た作品であることに間違いありません。いや、「抜きん出た」などという生易しい表現では、はるかに足らぬ。事件?金字塔?
・・適切な形容が見つからぬほどに屹立した作品です。1ページ目からぶっ飛ばされて、あとはもうアカン読むしかない。

・・・
9.11以降の近未来、サラエボで核兵器が使用され、印パ間には核戦争が勃発した。先進国ではテロへの恐怖から極度の監視社会が進行し、途上国では、なぜか内戦や民族虐殺が頻発する。
主人公は、米軍の特殊部隊に所属し、世界中の紛争地域に飛んで首謀者の暗殺を担うが、やがて紛争の背後に、いつも謎の米国人ジョン・ポールがいることを知る。。彼は、どのようにして虐殺を引き起こしているのか??一体なんのために??
・・・

スリリングでミステリアスで骨太なストーリーなのに繊細な心理描写の伴奏があり、奔流のように読ませますが映画を見ているように鮮明なビジュアルが浮かびます。

ジャンルはSFですが、テロリストへの核拡散/戦争を請け負う企業/先進国の支配と這い上がれない途上国の構図・・など、”いま現在”の世界が抱える問題を的確に突いています。
感情をコントロールするために脳の一部をマスキングする技術や、マネーの電子化で全ての個人生活が追跡可能になっている社会・・など、あとほんの少しで実現しそうです。いやもう実は実現しているのかな?

キレイゴトですまない現実をガッシリ掴んだ延長上に未来を描き出しているために、物語世界のゆるぎなさが半端ではない。本書の魅力の土台は、筆者の世界を洞察する目線だとも言えます。グローバリズムという、強者にのみ有利な競争のもたらすものや、資本の力が国家を超えてゆく予兆などを、どのような気持ちで見据えていたのでしょうか?

恐るべき才能。

読むべし!





posted by 武道JAPAN at 08:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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