2010年07月28日

官僚とメディア 魚住 昭

2007年出版の本ですが、現在ますます顕わとなっている官僚権力とマスゴミの胸の悪くなるような腐敗を告発しています。

著者は、元共同通信の記者で、現在はフリージャーナリスト。
1996年に共同通信社会部での共著「沈黙のファイル -『瀬島龍三』とは何だったのか- 」で日本推理作家協会賞受賞。
2004年、「野中広務 差別と権力」で講談社ノンフィクション賞受賞。
2006年、メディア勉強会「フォーラム神保町」を立ち上げる。

本書では、ここ数年、日本社会を震撼させた数々の事件と、その裏に存在するメディアと官僚の癒着と共犯関係をあぶり出しています。

●姉歯建築士の耐震データ偽造事件

ヒューザー/木村建設/経営コンサルタントの「悪のトライアングル」が姉歯建築士に強要した事件、と報道されたが、実は姉歯による単独犯行。他の関係者は冤罪。
本件で最も重要なのは、国土交通省大臣認定の建築ソフトが簡単にデータ改竄できてしまったという点であり、非難されるべきは対策をとらなかった国交省の官僚たち。なのに役人が責任回避するために仕組んだ「悪のトライアングル」というシナリオに、メディアはまんまと乗せられ(あるいは加担して?)、生贄としての罪人をつくりだし、国交省官僚は責任を問われずに無傷で生き延びた・・というのが真相。

●裁判員制度導入の為のタウンミーティング事件

最高裁+電通+共同通信+全国地方紙が「四位一体」でひそかに進めていた大規模な世論誘導プロジェクト。
最高裁は、反対意見の多い裁判員制度導入を図るため、メディアを利用して世論を誘導し、メディア側は広告と、一見すると記事に見える偽装広告を巧妙に織り交ぜて協力し莫大な利益を貪るという癒着の構図。動いたのは裁判員制度導入のための広報予算27億円。この予算も流れが不透明。

官僚組織とメディアが共謀して世論をコントロールする。これでは戦前の統制機構と同じ。
共同通信も電通も、ルーツは戦時中の国家総動員体制の中核を担っていた組織であり、悪い冗談ではすまされない。

●検察の暴走〜ライブドア・村上ファンド事件

村上ファンド・ライブドア事件共に、事件性はきわめて薄く、道義的問題はあったとしても大事件ではなかったと多くの専門家が指摘している。検察の描いたストーリーには相当な無理があったにも関わらず、事実のほうをストーリーに無理やり当てはめて捜査が組み立てられた。「現場の検事が作った冒頭陳述案を上司が書き換えたと聞いてます」(宮内・ライブドア前取締役の弁護人)
村上ファンドがインサイダーとされるなら、相当に広範囲の人々が罪に問われる危険がある事になってしまう。

著者は、このような検察の変容を、92年の東京佐川急便事件に見る。
当時、「政界のドン」金丸信が疑惑を受けながら検察がこれを見逃すと、国民から非難の大合唱が上がった。検察庁にはペンキが投げつけられ、「主人が検察に勤めていると人前で言えない」ほどの状況になった。翌年、検察が金丸を逮捕すると、一転して「正義の検察よくやった」の声があがり、検察OBが政府機関のトップに次々起用された。
このような経緯を経て、検察は「時代の象徴的な事件を作り出し、それを断罪する」事が自らの使命と位置づけていったのではないか。

法ではなく、司法官僚の判断が政治の方向や企業の動向まで左右するなら、「法治国家ではなく人治国家」と言われる中国と変わらない。

●メディアに自浄能力はない

記者の多くは情報を警察や霞が関から得る。いくら優秀な記者でも、関係官庁に集まる情報以上のネタを独自に取材することは難しい。当然、官庁とは「仲良くやる」事になる。関係がまずくなれば情報が得られない。
特に各省庁に存在する「記者クラブ」に出入りできなくなれば死活問題。畢竟、官僚には逆らえないし、やがては馴れ合って、官僚目線で大衆を見下ろす意識になってゆく。

・・・

・・と、この国の大きな病根を可視化していきます。
北朝鮮や中国を「言論の自由がない国」と避難するのは簡単ですが、我が日本には果たしてどの程度「本当に言論の自由」があるのでしょうか?言論の自由どころか、見えない形で巧妙に嘘を吹き込まれ、誘導され、操られているのが実体です。

生半可に「言論の自由がある」という虚構がまかり通っているために、「メディアが報道することは真実に違いない・・」と思い込まされているだけではないでしょうか?(中国のように、明確に「言論統制がある」と皆が知っているほうが対抗しやすいくらいです。)メディアの言う事を鵜呑みにせず、情報を見分ける目を養いましょう!

読むべし!

※本書で一つだけ賛同できない点を。
NHK番組改変問題を取り上げて、政治的な圧力でNHKの放送内容が変えられたのは遺憾・・としていますが、あの問題(→NHK番組改変問題)は、著しく偏向した主張を持つVAWW-NETジャパン(「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)の活動をそのまま放送しようとしたNHK側が異常だと考えていますので、仮に圧力があったとしても、個人的には寧ろ必要な事だったと思います。




posted by 武道JAPAN at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(社会歴史) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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