2010年01月16日

闇の子供たち 梁石日(ヤンソギル)

国連児童基金(ユニセフ)は22日、大地震に見舞われたハイチの病院で子供が連れ去られる事件が起きていることを明らかにした。ユニセフの専門家によれば、これまでに15人前後の子供が病院から連れ去られ、行方不明になっている。
同専門家は、「地震の前から、ハイチでは子供を取引する問題が存在しており、同国内で子供を売買するネットワークの多くが国際的な『養子縁組市場』につながっている」と指摘。国連機関として、被災地での監視を強める姿勢を強調した。


本を読んでいて身体が反応するリアルな吐き気を体験したのは初めてだった。

本書は、タイを舞台に幼児売春や臓器売買といったテーマを扱った小説である。
小説ではあるが、大部分は事実を基にしたものと思われる。小説という形式でなければ出版できなかったのではないか?とも思われる。

物語は、タイ北部の農村で貧困から親に売られた8歳の娘が、幼児を専門に扱う売春宿に運ばれるところから始まる。
ここには外国からやってくるぺドファイル(幼児愛好者)達のために、暴力と飢えで調教された子供達が飼われており、彼らは男女問わず性的な嗜虐の対象とされ、あるいは病気治療のため臓器を求めてやってくる先進国の金持ちに命を売られる・・・という、とても正視できない世界でおぞましい出来事が続いてゆくが、物語の最後までこの現実に明確な救いはない。

この、ものすごく嫌な読後感の理由は、おそらくこんな事がタイで、あるいは世界中の様々な場所で「現実に起こっているだろう」と思われるからだ。

昨年バンコクに数日間滞在した。
東京と変わらぬ近代的なオフィスビルが立ち、巨大なショッピングセンターには世界のブランドファッションが並んでいるが、そのすぐ足元には不衛生な路地があり、地べたに座った物乞いがいる。
バンコクのようなタイ有数の都会で、日本の格差などものともしない程の「格差」を目にするのであるから、地方に行けばどのような現実が存在するのか。。本書で描かれたストーリーを「フィクションでしょう」とは片付けられないし、毎月ユニセフに募金を送っていても、この本を読んだ後に襲ってくる無力感はぬぐえない。俺達は何をすれば良いのか・・
小さな子供を抱いた母親がさしだす空き缶に思わず小銭を入れた時、しかし「こんな事では根本的な解決にはならない」と思った。

人間の、非人道的な行いを糾弾するのは簡単だが、貧困や暴力に追い詰められてなお人道的な振る舞いのできる人間は少ない。「人道的」というのは、人をそこまで追い詰めない社会の仕組みが担保される事ではないだろうか。社会や国家が弱者を保護できる成熟を保持し得なければ、弱いものから順に犠牲となる。我々は、自分達の社会を健全に保つ為にも、自分達の生きている場所で日々の営みを真摯に続けなくてはならない。

今回は、「読むべし!」とは書けない。自分自身はもう一度読みたくはない。

カンボジアの児童買春問題の解決を目指すNPO法人「かものはしプロジェクト」
財団法人日本ユニセフ協会





posted by 武道JAPAN at 13:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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