目玉政策だった「子ども手当」「高速道路無料化」等が迷走し始めているというのに、党内の意見集約ができずマニフェストに書かなかった「外国人参政権付与」を早々に取り上げるとは何事だろうか(怒)
外国人参政権に反対する会・公式サイト
http://www.geocities.jp/sanseiken_hantai/
・・などと考えていた為か出張で新幹線に乗る際に書店で見かけた本書を、ほとんどタイトルだけで買ってしまった。
著者は名城大学教授で、東京大学農学部農業経済学科卒の農学博士。本のオビに「飲み屋で使える日本経済再生のネタ満載!」とある。
一読後の感想は「こんなコト書いちゃって(出版しちゃって)イイノカナ?」である。
1)言いたい放題である
近隣諸国を「歴史ねつ造国家」、中国の首相を「疫病神」・・などと放言満載。痛快と言えば痛快だが、仮にも大学教授というお立場において問題はないのかと心配になる。
「日本の交渉担当者は、いったいどこの国の人間なんでしょう。『君たちは地球市民』なーんていう空しい教育を受けてきた人間なのでは・・」と軽佻浮薄な語り口も気になります。
2)根拠のない論が多い
章ごとに様々な論(愛国心が人口を増やす、愛国心が食料自給率を高める、雇用と内需を拡大する、大学を蘇生させる・・等々)を展開されているが、根拠が明確でないものが多すぎる。
データの裏づけや、説得力のある論理展開に乏しく、ちょっと間違えば単なる親父の小言か、まさに「飲み屋で使える(?)」程度の与太・・となり兼ねない内容で、「経済学」とタイトルして大学教授が出版するのはいかがなものか。。
・・・まあ、「有事の際に機能する安定的な食料輸入システムを失わない為には、食料自給率は100%ではなく70%程度にとどめたほうが良い」など、さすがに専門の農業については傾聴すべき意見もありますし、「日本人が日本の歴史を正しく学べば自然に愛国心が備わってくる」といった意見にも同意します。
環境問題を国益に合致させるEUのしたたかさに比較して日本の国家戦略の弱さを憂うなど、言いたい事は判るし、良い事を言っています。
ただ、「愛国心の経済学―無国籍化する日本への処方箋」と銘打って出版するには、少々練られ方が足りないのではないでしょうか?少なくとも、名城大学には子供を入れないほうがいいな、と思ってしまいました。
飲み屋で聞く「愛国心に溢れたお父さんの意見」としてだったら(ところどころ首を傾げつつも)微笑みながら聞いていて楽しい、と言えます。実際、読んでいて何箇所も笑いました。
勉強するためと言うよりは、このところ政治的に力を失っている「保守」側の意見を聞いて「そうだそうだ!」「その通り!」と、快哉を叫びたい・・そんな時にはよろしいです。
◆この本について紹介している他のブログ
杜父魚文庫ブログ
シートン俗物記