2009年11月01日

ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う 宋 鴻兵

著者の宋鴻兵(ソンホンビン)氏は中国四川に生まれワシントンの大学で情報工学を学び、2002年からはファニーメイとフレディマックで上級顧問を務めたエコノミスト。現在は環球財経研究所院長。

本書は2007年当時からリーマンショックを予見し、初の著作ながら中国で発売されるや150万部の大ヒットとなった話題の書。韓国・台湾でも翻訳本が売れているという。原題は「Currency Wars(通貨戦争)」。

ロスチャイルド財閥を筆頭とした国際銀行家たちの「金融による世界支配」の現実が、じっくりと描かれていて非常に勉強になる。世界のしくみの背景と、これから起こる出来事の「本当の意味」を理解できる。
・・・

●各国の「中央銀行」は、政府機関ではなく私有銀行である
・米国FRB、イングランド銀行、ドイツ連邦銀行、スイス国立銀行、イタリア銀行、日本銀行などは政府機関ではなく、本当の所有者は民間の銀行家であり政府の干渉を拒絶している
・フランス銀行は政府の傀儡とみなされ、この「エリートクラブ」からは排除されている
・中央銀行が民間所有でないのは北朝鮮、リビア、キューバ、イランなど数カ国しかない
・米国では政府は通貨を発行できず、債券を発行しFRBに通貨を発行して貰う
・日銀は、日銀法で資本金の55%を政府が保有するが、政府に議決権はない

●中央銀行の目的は通貨の発行権を独占する事
・「通貨」は商品のひとつであるが、全ての人が必要とする商品である
・商品の独占権を持つものは巨万の冨を得る
・通貨発行権を得れば、納税者から永遠に利子収入を得ることが出来る
・アメリカの歴史は、通貨の発行権をめぐる大統領と銀行家達の暗闘の歴史であり、その過程で7人の大統領が暗殺され、数知れぬ議員が命を落としている

●戦争もインフレも銀行家達がおこす
・戦争時には、平時では考えられぬ速度と規模で物資の消耗が行われる〜米英戦争も第一次、第二次世界大戦も国際銀行家達の利益のために引き起こされた
・金融政策をコントロールし、インフレを作り出すことによって、人々の財産を通常の何分の一かの価格で収奪できる。(これは「羊毛狩り」と呼ばれる)
・通貨の流通量を増やす→お金の価値が下がり、モノの値段が上がる(インフレ)→パン一個が10万円になる→国民の貯金はあっという間になくなる→通貨の供給量を突然減らす→物価は暴落し、銀行家達はタダ同然の値段で土地や不動産を買い占める

・冷戦後、米国の専門家達によって「恒久平和が訪れた後の世界」が研究された結果、社会秩序を保ち国民が政府の指導を受け入れる為には何らかの外敵に対する「戦争システム」が必要との結論が出た。この戦争の最初の候補は「貧困」、次は「宇宙人の侵略」で、最終的に「環境破壊」が採用された

●通貨の無制限な発行を可能にする為、金本位制度を廃止した
・通貨が金と連動していた時代の各国インフレ率は100年間でほぼ0%であった
・しかし、通貨が金との兌換に縛られておれば無制限な発行はできない
・銀行家達はこの鎖を断ち切るため御用学者を動員した
・ケインズもグリーンスパンも、かつては金本位制の擁護者であったが転身した
・1971年に通貨が金の束縛を脱し(ニクソンショック=ドルと金との兌換停止)、銀行家達は思うさま信用を拡大できる条件を手に入れた
・金本位制の復活を試みたレーガンは「精神異常者」に銃撃された
・政府の債権を基に発行される通貨は基本的に「債務」であり、「債務通貨」が増えれば増えるほど銀行家達の懐に入る利子収入は増える
・政府債務を肩代わりさせられるのは納税者である国民である

●インフレの発生源「部分準備金精度」
・預金者は、銀行に預けたお金をすぐに全額引き出すことはない
・統計的には預かったお金の10倍を貸し付けても問題ない=貸し出すお金の10分の1を実際に保有しておればよい(部分準備金制度)
・つまり銀行は、100万円の預金から900万円の貸付を作る事ができ、無から莫大な財産を得る
・これは通貨を発行しているのと同じ事である
・人民元は中国政府が発行しているが、中国に進出した外国銀行が「部分準備金制度」を利用して貸出しを始めれば、政府からは見えない通貨が流通し始める

●銀行家達の最終目標は世界政府と統一通貨
・彼らの目的は、少数のエリートで世界中の政府を支配し、統一通貨発行システムを牛耳り全ての人間から「世界税」を徴収する事
・この「宣戦布告のない戦争」は既に開始されている
・どんな大企業も、資金が引き上げれば立ち行かない。金融(資本の流れ)は経済発展の戦略空軍であり、これの援護なしでは悲惨な白兵戦や同士討ちの危険がある

・・・
国際銀行家たちのカルテルが、いかにして各国に中央銀行の設立を働き掛け、やがて政府から通貨の発行権を奪ったか・・・そして金本位制を廃止し実物資産の裏付けなく自由にいくらでも通貨を発行できる力を手に入れたか・・「プリンス」と呼ばれるエリート国際銀行家達の集まりである国際決済銀行(BIS)やビルダーバーグ会議に、英、米、独、伊、そして日本の中央銀行からメンバーが集まり、いかに国家の規制を離れた活動をしているのか・・・アメリカ政府と銀行家による通貨発行権争奪の歴史を通して、世界単一通貨へと向かう国際銀行家達のもくろみをあぶりだす快作!

著者が中国人であるためか、このような国際銀行家達の知謀を「許しがたい悪」というより「驚嘆すべき意思と知恵」と見ているような点が面白い。そして、「中国が羊毛狩りに逢うかどうかは中国しだいである」と警告する。

出典の信憑性が定かでない部分もあるので何から何まで鵜呑みにはできないものの、全体的には相当な説得力があり、辻褄が合っていて非常に面白く、2度、3度と読み返してしまった。必読の書と評して良いと思う。

読むべし読むべし読むべし!

◆この本について紹介している他のブログ
遍照金剛
ニュース裏読みブログ




posted by 武道JAPAN at 23:18 | Comment(0) | TrackBack(1) | 読書記録(政治経済) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

止まらない円高=世界通貨戦争どうなる?12〜世界通貨戦争の行方は?【前編】〜
Excerpt: こんにちは :m034:   数回前のシリーズで世界通貨戦争の構造について追求した:D   ここまで整理して、改めて今言われる「国際通貨戦争」を捉え直してみたい。 もとはと言えば、リーマンショック後..
Weblog: 金貸しは、国家を相手に金を貸す
Tracked: 2011-03-03 14:48
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。