2009年10月04日

これが日本人だ! 王志強(著) 小林さゆり(翻訳)

本書は、訳者の小林さんが北京の書店で偶然発見し、内容に魅かれて出版する運びとなったもので、著者の王志強さんは滞日経験の長いビジネスマン。
つまり知日派ではあるが、学者や研究者ではなく、あくまで「普通の中国人」から見た日本人の姿が描かれています。学問的な「日本人論」というより、サブタイトルにあるとおり「中国人によって中国人のために書かれた日本及び日本人の解説書」といった内容です。

とはいえ、日本の風俗習慣や歴史をよく理解しており、日本人を殊更に低くも高くも見ておりません。その分、否定しがたい日本人の生態が赤裸々に描き出されていて、なかにはヒヤ〜そうだなあと思う記述もあれば、そうかなあ??といった部分もあります。オビに「読んで首肯するか、立腹するか!」とありますが、まさにその通り。・集団至上主義・島国日本・日本人の精神世界・など日本人に対する大方の中国人の率直な見方が読めて楽しいです。 以下メモ

-----
・日本は大陸から適度に海で隔てられており、この適度な距離は軍を送って侵略するには遠く、文明が伝播するのは可能であった。この恵まれた条件が、日本に必要な文明をもたらし異民族の侵略からは守った(似たような条件の英国は、大陸と自国を隔てるドーバー海峡が対馬海峡の3分の1しかない。キューバやマダガスカルには最も近い大陸に文明がなかった)

・古来より中国から文化や社会制度を学んだが、欧米列強が現れると西洋から学んだ

・日本は海と山の狭い範囲に人々が住み、地震が多く毎年台風に襲われ自然災害も多いため助け合わねば生きてこられなかった。そのため集団から離脱する事を何よりも恐れる習性が身についた。これが日本人の団結心を生み、また集団の意見が優先されて自分の意見を持たない個人を作っている

・集団に対する依存心が強いが、まとまりも良く集団で動くと強大な力を発揮する。明治維新も戦後の復興も他国には真似のできないことであった

・繊細なものや静けさの中に美を見出す
・他国から日本人がどう思われるかをとても気にする
・情緒的かつ非理性的、無原則、ムードで動く、これは天皇制を支える精神土壌でもある
・物事がうまく行けば傲慢になり「日本民族の優秀さ」を誇るが、うまく行かない時はすぐに自信を失う
・第2次大戦では、精神論に頼った戦略性のない無謀な戦いを展開した
・武士道は形を変えて今も日本人の中に生きている

・日本人は人類史上に貢献するような新しい発明をしていない。発明されたものを応用して改良し、職人的なこだわりで優れた製品にするのは上手い

・外来の文化を柔軟に受け入れて混乱しないのはスゴイ。自分たちに役立ちそうなところだけ濾過して吸収し、うまく日本風にアレンジしてしまうイイトコドリ。ただし、外来文化の根底を「なぜ?」と深く理解せず「どうのように?」と実用的な事にしか興味を持たない
-----

中国人の一般的な感情として、日本は様々なものを中国から学んで漢字文化圏の辺縁にいたくせに、ここ100年あまり新しく出てきた西洋文明をすばやく学び取ると、軍備を増強して豹変し、恩知らずにも大陸を侵略して残虐行為を働いた「信頼できない国」という見方が根底にあるようです。

また、明治維新後と、戦後の急激な経済的勃興を見て「突然猛烈に変化して突き進む」が、「コントロールを失って悲劇を引き起こす」といった「不安定さ」を感じている、という事も判ります。

今後、世界はアメリカ圏、欧州圏、アジア圏という3地域を中心に動くと思われます。我々もアジア諸国、とりわけ中国とは「戦略的互恵関係」をより深めて行く事になるでしょう。そのうえで、双方の国民が他方をどのように見ているのか?を知りあう事は重要と思われます。とても参考になりますよ。

読むべし!

翻訳者:小林さゆりさんのブログ「北京メディアウオッチ」
中国で映像撮影...Emmy Broad"Band"Cast 本日の北京−映像ブログ(Blog




posted by 武道JAPAN at 15:58 | Comment(0) | TrackBack(1) | 読書記録(社会歴史) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

『これが日本人だ!』 著者の王志強さんからの返信 (2)
Excerpt:  先日、10月2日のエントリー で、新刊 『これが日本人だ!』 (王志強・著、小林さゆり・訳、バジリコ刊) について、日本の友人Rさんからいただいた長文の感想をご紹介いたしました。  かつて一部..
Weblog: 北京メディアウオッチ 〔ブログ〕
Tracked: 2009-10-13 09:58
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。