2009年08月20日

自然体のつくり方―レスポンスする身体へ 斎藤 孝

著者は、「声に出して読みたい日本語」で「音読」の効用を説いた斎藤孝さん(かつて音読は、日本の初等教育で広く実践され、高い効果を上げていました)。本書では日本独自の「腰とハラの文化」復興を提唱し、「四股立ち」「(歌舞伎の)六方」「スワイショウ」など、「自然体」を取り戻すための実践的な身体技法や訓練法を紹介しています。

我々は、近代以降、欧米風の文化と生活は輸入しましたが、身体の使い方はマスターしていません。ところが、伝統的に持っていた和の身体技法も失いつつあります。和洋の文化の間でどっちつかずになってしまった「不自然な体」を自然体に戻す為には、意識的な訓練が必要です。

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・自然体とは「リラックスしながらも覚醒しているような身心のあり方。身体の重心においても、心や精神の方向性においても、寄りかからないゆとりをもった構え」

・全身脱力した状態ではない。「上虚下実」上半身は柔らかく、下半身は粘り強く。

・自分の中心感覚を腰腹=臍下丹田(せいかたんでん)に置く。

・自分の中心がしっかりしていれば、他者との距離感覚(コミュニケーション=レスポンスする身体)が出来上がる。

・笑いかければ自然に笑い返す、人の話にうなづく・・といった自然なレスポンスができない「冷えた身体」が増え、コミュニケーション能力の低下が起こっている。

・自然体は自然にはできない。修練の賜物である。かつては、武道や芸道の達人が自然体を体現しており、比較的身近に見本があった。子供を背負う、天秤棒を担ぐ、畳に長時間座る、といった日常生活が自然体を作る訓練になっていた。

・日常生活や遊びの場で鍛えられた重要な身体感覚が失われつつある。こうした感覚は文化であり、継承する意思を持たなければ衰退し失われてしまう。
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四股立ちをするイチロー、昭和初期の漁村で船を曳く男たち、赤ちゃんをおんぶした子供・・「自然体」の見本が写真で紹介されていて抜群の説得力があります。

自分自身、武道の修業を通して「自然体」「不動体」が身に付き、ただ「自然に立つ」事ができるのに何年も掛かりました。その間に、子供の頃から持っていた身体の癖を随分修正した実感があります。自然体は自然にはできません。ただし、いったん身に付けば無意識に活用できます。

いつだったか、取引先のガイジンと交差点で信号待ちをしながら雑談をしていて、相手が笑って私の肩をどんと叩いたのですが、反対に向こうがよろけてしまいました。相手は、自分よりひとまわり余分に重量があり、こちらは普通に立っていただけなのですが。

しっかりと決まった腰・据わっているハラ・ぶれない中心軸・ゆったりと大きな息・・そんな、自分の中心と軸を持った「自然体」があってこそ、他者と柔軟なコミュニケーションも可能になる。武道修行者には必須!そうでない人も、是非!読むべし、読むべし!





posted by 武道JAPAN at 07:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(社会歴史) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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