2009年08月13日

比較文化論の試み 山本七平

日本人とヨーロッパ人、アラブ人、ユダヤ人との比較を通じて、日本民族と他民族との「違い」を浮き彫りにする。1976年発行の本。講演を文庫化したもので、ごく平易な語り口で書かれた薄い本ながら内容が充実しています。

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●対立概念と二元論
西洋では対立概念で、ものごとを異なる視点から見て正確に把握しようとする。日本では単純に二元論で割り切ろうとする。

対立概念=ひとつのものの中に二面があると考え、両面から対象を捉えようとする(例:一人の人間に善と悪の心がある)

二元論=○か×かに二分する(例:善人か悪人か!)

●民族それぞれに感じ方が違う
イスラエルで遺跡の発掘をしていて人骨が出てくる。一日中、骨を処理していると日本人は変になってくるがユダヤ人は何ともない。日本人は骨という「物」に聖性や魂を感じるが、ユダヤ人には只の物体。反対に、ユダヤ人は聖地に行くと、その特定の「場所」に何かを感じるが日本人には判らない。
これほどに、言葉にできないが自分たちが確かに持っている「規範」の違いがある。

●日本人は深く考えない
異文化・異民族とぶつかり合えば、自分達の規範意識や考えを明確に主張しないと、相手に理解してもらえない。だから「なぜそう感じ考えるか?」を、まず自分達が徹底的に考える。そのうえで「相手に判る言葉」にして伝えようとする。ここから弁論術も発達する。

日本人は異民族との接触が少なく「なぜ」「どうして」という根源的な問いをあまり深めていない。単一民族同士で暮らし「気は心」「以心伝心」で通じてしまった。

●外国(人)と交渉できない
しかし、世界では、自分達が何をなぜ、どのように考えるかを相手が理解できるように説明しなくては通じない。それなのに、自分達の考えを、自分達でさえ「なんとなく」しか理解していないのなら、他者にはとても説明できない。

●日本文化の確立が必要
日本人は、自己を律している文化的規範が人類共通の公理だと考えないが、他国は、自己の文明を全世界を律しうる普遍のものと考え攻めてくる。きちんと応対し、防衛しなくては飲み込まれてしまう。まず自分達の「日本文化」を、自分達が明確にしなくては世界に互して立てない。

経済的破産は民族の歴史から見れば一時のことだが、一国あるいは一文明の文化的破産は遥かに悲惨であり再生不可能である。

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武道を修業していると、「立つ」「歩く」といった基本的な「身体の用い方」が、既に日本と外国では違う事がわかります。もっとも、「日本的な身体の使い方」を失っている人がほとんどで、自分自身も武道を通じて取り戻したのですが。。

時代は、我々自身の文化を再発見する方向に向かっているようですが、もう一歩進んで「我々の文化を体現する」段階まで行きたいものです。読むべし!

◆この本について、上手にまとめている他のブログ
http://fldtest.blog53.fc2.com/blog-entry-67.html
http://hanatatibana.cocolog-nifty.com/hibizakkan/2006/04/post_3b09.html
http://sabomemo-2.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-3eb6.html



タグ:山本七平
posted by 武道JAPAN at 11:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(社会歴史) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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