2009年05月23日

救国の戦略 小山和伸 【武道家の書いた本】

素晴らしい本であり、書き手が武道家である。なお素晴らしい。

著者の小山和伸さんは居合道「無双直伝英信流」七段。神奈川大学経済学部教授。
39歳という記録的な若さで東大より経済学博士号を授与された、まさに文武両道の士。論理的で説得力があり、「今の日本が、相当深いところから何かおかしくなってゑると感じてゑる人は少なくない。」と、旧仮名遣いの見事なリズムを持った名文。加えて愛国の熱い魂が行間から滲み出ていて心を揺さぶられます。

第1部「日本凋落の真因を探る」で日本民族の歴史的成り立ちから、現在の凋落を招いた内的・外的要因を経済、政治、文化の各側面から分析。
第2部の「経済大国日本の形成過程」では、後発工業国の経済発展過程を説明するガーシェンクロン・モデルを紹介しつつ、経済が経済単体では永続的な繁栄を維持できず、必ず政治・文化・技術・軍事等と相互作用を及ぼしながら連関する「多元的モデル」を提唱。
第3部「日本再興への戦略」ではグローバル化する世界の中での、政治・文化・経済・国防・憲法改定等に関して具体的な戦略を提示する。

2002年の出版ですが、あらたに読み返してみて大いに唸りました。 以下メモ

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●日本文化
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・支那や朝鮮から渡来した勢力により原住倭人が圧倒されたというのは、中華思想に根差した俗説である。

・古来日本は独自の文化圏と考えるのが理に適う。服飾品の類似を根拠に朝鮮からの民族渡来説があるが、それは文化交流の証拠にはなっても日本人が朝鮮人の子孫という理屈にはならない。背広を着ておれば英国人の子孫か?

・支那や朝鮮では肉食が主で、日本食は魚。食文化は、最も保守的で変わり難いものであり、これひとつ見ても日本が独立した文明であるのは明白。

・渡来人が支配層になったのなら、その出自を誇りとする社会が形成されたはず。隠匿する必要がなぜあるのか?米国におけるWASPの立場を考えてみよ。

・大陸から一方的に文化が流入したと考えるのもおかしい。双方向の交流があったはずである。

・「恒武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であり、皇室のルーツは朝鮮」などと言う暴論があるが、恒武天皇の生母、即ち光仁天皇の后は、百済より帰化した斯我君より下ること270年・・帰化後、十数代経っている。そもそも、皇位継承は男系男子なので、后が誰かは関係ない。

・弥生人と縄文人が別民族と言う説も疑わしい。稲作による食の変化が体格を変えたと考えるほうが合理的。

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●日本凋落の原因
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・「経済一流、政治は五流」ではダメ。政治経済文化は有機的に関連している。経済力相応の軍事力を保有するか、政治力相応の経済に落ちぶれるか・・である。

・勤勉なだけではダメ。単純なる「善人」は国際社会では競争劣位となる。

・国際感覚を持った政治家が不在。国民は「真の政治家」を強く待望せよ。

・第2次大戦の終結を持って世界は平和になったと思っている日本人が多い。国益の拡大を掛けた戦争は執拗に続いている。経済は銃を使わぬ戦争であり、文化の侵食も戦争である。文化侵略により、食文化や広範な意味でのカルチャー特に自らの国語を失った国は滅ぶ。

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●経済大国
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・ガーシェンクロン(ロシアの経済史家)モデル=後発国が工業化するとき、先発国の成果を一気に導入できるため、後の国ほど加速度的な発展が可能になる。

・産業革命は英国で発祥し、量産化モデルを採用した米国や、伝統的な徒弟制度を活かして高級品作りに向かったヨーロッパ、官主導から民間払い下げコースを取った日本など、発展過程が違う。
日本には、江戸時代から続く商業の伝統と民間に蓄積された富があったため、官→民間モデルがうまく機能した。民の受け皿が発達していなかった中国やソ連は、ずっと国主導(共産主義)でやった。

・ソ連崩壊後、共闘目的を失った米国は日本を経済の敵と見なして戦争を仕掛けたが、日本人の善人性が状況を見誤らせた。日本では自助努力(努力、工夫、勤勉)や他国との共生を考えるが、日本以外の国では闘争が常識であり、勝つために政治圧力、恫喝、罠、情報操作など何でも仕掛けてくる。

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●日本再興
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・戦略とは目的達成のために編み出される(事実の「客観的判断」)
・目的とは、理想から導かれる(理念や価値観、信条などの「価値的判断」)

理念や価値観がある人や国家は強い。覇権国は「自国の権益拡大」を至高の是とする価値観に貫かれて、長期的に執拗な戦略をもって攻めてくる。従軍慰安婦問題も南京虐殺キャンペーンも、自国権益拡大の戦略であって、感情から発しているのではない。謝罪して宥めようという対応が間違い。

日本も、まず「誇るべき歴史と伝統、独自の文化を持つ我が国を守る」という理念を明確にする事。
その大目的のために戦略をもって外交に臨むべし。そのためにも正当な歴史教育が必要。

◆経済

・円の国際化をはかり、米ドルの一極支配を終焉させよ(管理人:スゴイ事を書いてるな〜。もうドルの一極支配は終わりそうですが)
・特許を債権化せよ

◆文化

・これからは文化的な独自性を発信できない国は呑み込まれる。独自性を発揮できる人材教育制度を持て。大学で一教科のみによる入試を実施し、特定分野に特殊なほど能力のある人材を迎えよ。

◆外交

・国際社会で「友好的」というのは「戦闘状態にない」くらいに考えよ。主権の侵犯に対しては毅然と対応。謝罪ばかりしてもダメ。虎に肉を与えればいつか草食動物になるか?

・闘いは理性的かつ機械的に淡々とすべし。「決断」だの「堪忍袋」だのを持ち込むと機を逸するし、継続性の乏しい場当たり的な対応になりやすい。

・外国から賄賂を受け取る売国政治家を許すな。

◆防衛

・対米依存は麻薬。情報衛星の取得・スパイ防止法の制定・継戦能力の拡充(特に弾丸の備蓄状況は最悪)を計り、核武装せよ。

◆憲法

・戦時国際法違反によって作られた現憲法は速やかに廃止せよ。同様の状況下で憲法を制定されたドイツでは、戦後何十回も改定している。

・制定したGHQのメンバー自身が「日本が主権回復したら直ぐに廃棄されるだろう」と思っていた。

・自主憲法制定を党是とする政党が必要であり(自民党は党是としているが最早怪しい)党勢の拡大にはマスコミ対策が重要となる。

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●その他 感銘を受けたところ
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・日本の国体/ 「幸ふ祈り」「大いなる和」「君民共治」。天皇を神と称える心は軍国主義の産物などではなく万葉集の昔から続いている。

・武士道/ 戦いを常とする心構え・敵に侮りを受けぬ警戒と慎み・身形の清潔さと凛とした立居振舞い

・国民の本当の幸福は目先の景気などにはない。その国の国民たるの誇りと自信、国家百年の姿を展望し得る希望と充実感こそ、真の幸福である。

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・・・と、専門の経済学から少々はみ出した広範な論を展開されています。

出版から時間が経っている事もあり、さすがに全ての分野に実効性を感じられる具体的戦略が提示されているとは言い難いですが、憂国の情を漲らせた素晴らしい名文で、一読、二読の価値大いにありです!文武両道のサムライが、居合で鍛えた精神力で反日・売国の輩をバッサリ斬るのも痛快です。読むべし!





posted by 武道JAPAN at 22:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(政治経済) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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