2009年02月21日

マネー力 大前研一

「特に若い人に読んで欲しい」という事で、大前さんの本の中では平易な言葉で判り易く書かれた一冊。いつもながら明晰な思考としっかりしたデータを背景に、歯切れの良い語り口です。
「日本人のマネー力は世界の中では幼稚園児並み」と厳しいですが、読んでいくと納得します。

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経済危機に見舞われたブラジルでは、日に日に自国通貨の価値が下がるため、普通の庶民がクルゼイロを銀行に持ち込んでドルに両替して生活防衛していた。ソ連崩壊後のロシアでは、タクシー運転手が外国人乗客に料金をドルで払ってくれるよう交渉し、情勢が変わると今度はユーロを要求していた。
このように、皮膚感覚に近い生活者のマネー力が世界の常識。
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日本人のように、通貨といえば円しか考えず、ゼロ金利の国内に黙ってお金を置いておくような国民は「考える力がない」と言わざるを得ない。世界中には有利な金融商品が多数あり、年利数%から10%程度の運用益を普通に個人が上げている。もっと世界に目を向けるべき。
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08年は世界経済の潮目が変わった。アメリカは長期衰退に入り、基軸通貨はドルとユーロの「アトランティックの戦い」となるであろう。最終的には「ドーロ」「ユーラー」のような通貨に統一されるのではないか。
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日本は、国家の借金が大きすぎる。国が預金封鎖などの手法で国民からの借金を無理やり帳消しにする可能性は大いにある。個人の資産は国を信用せずに運用すべし。
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日本はこのままいくと長期衰退だが、再生のためのプランはあり、それを実行できる力を全て自分達で持っている。

1)相続税
1500兆円もの個人資産があるのに動かない。1%動くだけでも15兆円なので効果は巨大。この資産を持っているのは高齢者なので、一時的に相続税を廃止するなどして、若い世代への資産移転を促すべし。

2)東京マンハッタン化計画
先進国の都市内を電線が走っているのは日本だけ。山手線の内側でも平均2.6階の高さしかない容積をもっと高める。規制を撤廃し、行政が地面をなんとかすれば上物には民間の資金が集まる。通勤20分以内に光ファイバーを完備した住宅ができる。経済効果は計り知れない。

3)道州制
市と県で重複する業務を削減できれば節約になる・・といったセコイ発想でなく、世界に目を向けて地域単位で繁栄の戦略を描くために道州単位に権限委譲する。
北海道は極東シベリア開発の前線基地になり、九州では第2外国語を中国語や韓国語にしてアジア地域との連携を深めるなど、世界の成長を取り込み繁栄する戦略を描き、中央集権で中途半端な調整型の施策しかできない現状を改革すべし。
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途中、大前さんが主催する「ビジネス・ブレークスルー」講座の宣伝となるので、そこは飛ばして読んでも良いでしょう。




posted by 武道JAPAN at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(政治経済) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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