なによりも表紙がカッコイイ。黒地に赤で「忍びの国」、と白抜きで様々な姿の忍者達。。。
内容は、非情に徹した伊賀忍者達と、伊勢を治める織田信雄軍との戦い・・を中心に進んでいくが、無敵の忍者=金でしか働かない主人公の無門が、恋した女、お国のために人間らしい心を回復してゆくという副旋律がからむ。
織田軍の猛将、日置大膳のサムライぶりや、偉大すぎる父、信長に無視され続けて居場所の無い思いを常に胸に抱える信雄など、脇を固めるキャラが描けていて良い。「のぼう」もそうだったが、この作家は登場人物を一人ひとり魅力的に描けるんだなあと思う。
攻める守るの戦いや、登場人物たちの心の機微の描き方など、全体的には「のぼう」の方が印象深いが、エンターテイメントとして十分な品質の一冊です。