2008年11月02日

資本開国論―いま本当に必要な経済政策 野口悠紀雄

読み応えがあり刺激的。
日本経済の問題点と野口さん提唱の解決策をギッチリ書いてます。
簡単には、まとめられないので要点をいくつか・・

・90年代以降、冷戦の終結と共産主義国の変容により、市場経済圏に30億人の労働力が流入した

・同時に、IT革命によって通信コストがゼロに近くなり、オフショアリング(国境を越えた分業)が簡単になった

・これにより、コモディティ(差別化要因が少なく、世界中どこでも生産できて、価格競争に陥りやすいもの)を提供する人や産業は一気に値下げ(賃下げ・リストラ)圧力にさらされた

・この変化に対応し、資本を開国して積極的に海外からの投資を引き入れた国々は成長し、日本は完全に乗り遅れている

・日本で起こっている「格差」は、この「世界の産業構造の変化」が原因であって、小泉改革のせいではない

・格差是正と言う名目のバラマキや、従来の重厚長大産業を温存したままの成長促進では解決しない。産業構造の変革が必要である

・トヨタやキャノンが今後も日本を支えうるのか?Googleやアマゾンのような未来の産業となる企業が生まれなくてはならない

・金融緩和、円安志向は、旧来型の産業を延命させるだけであり、国民が汗水たらして働いて貯めたお金を海外に安く貸してやってわずかな金利を受け取る損な役回りである。日本の消費者のみが負担を強いられる

・積極的に海外からの投資を受け入れ、経営者にも競争をさせるべきである。優秀な労働力を活かし切れないのは経営に責任がある

・日本は海外に持つ莫大な資産の運用益を上げる事に真剣に取り組むべきである。プロこそ「貯蓄から投資へ」を実践せよ。貿易大国から資産大国への道を歩め

・・・とまあ、なかなか厳しい提言が並びます。

「法人税を引き下げても企業の競争力に影響はない」というくだりは??だったり、
「ものづくりはもう全部ダメで金融の腕を磨け」みたいに書いてますが、それはちょっと賛同できないなあ、日本人の職人的こだわりを活かした「高級ものづくり」の道もあるんじゃないかなあと、全部を全部肯定できないですが、全体としては「ううむ!」と、頷ける内容です。
やや重めですが、読む価値は高いです。




posted by 武道JAPAN at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(政治経済) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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