1)日本が戦争に負けた理由
2)それと同じ行動パターンが今も日本社会に現存すること
を解いてくれます。
1975年に書かれた本ですが、2008年現在にも通じる、というか何も変わっていないのでは(汗)?日本人とはどんな民族なのか、が明確になって怖いです。我々は何を変えなくてはならないのか。奥田碩会長が「ぜひ読むように」とトヨタ幹部に薦めた本、との事。
系統だった分析も戦略もない・身勝手な期待や無責任・思考停止・命の無駄遣い・・バシー海峡の兵員輸送の実態などは鬼気迫る恐ろしさ。もっと皆、この事実を知ったほうが良い。
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・個人の「芸」「職人技」を磨く事に集中し、兵器や戦術を工夫しない。米軍は合理的に工夫して色々と方法を変えてきた。未訓練兵でもできる作戦で来た。
・日本軍は一方向に同じやり方を繰り返し、5万人を送ってダメなら10万を、それでダメなら20万を送り、全滅するとき「やるだけの事はやった」という。
・命を大事にしない。上の命令を聞いたら命は無いと兵隊達が気付いてしまった。
・自己を絶対化する。反日感情に鈍感。日本の文化を普遍化できない。自国の文化を明文化し自ら把握し、他文化との差異を説明できないから外交でコミュニケーションできない。
・日本人の収容所では暴力団が現れて力で牛耳る(=恐怖で抑える以外の秩序が無い)。米英人には彼らの内的文化から現れる秩序がある。
集団に自然に発生する秩序は、その集団が持つ伝統的文化を表している。日本人でも職人の集団には整然とした秩序があり、暴力団は介入できなかった。
・極限状態で聖人として振舞えるのは特殊な例であり、普通の人間は餓鬼にも修羅にもなる。「人道的」というのは、修羅になった人間を非難することではなく、極限状態に人間を追い込まない事である。
・人間の社会は、平時は金と女と名誉を中心に動く。教養や、いろいろの条件で体裁よくやるだけ。社会機構の根本とは、各人の口に食物を届ける事。その分配の仕組みを確立する事である。
・平時にあって金も女も名誉も要らぬ人は、人の上に立てる人だ。普通では抜けられぬこの境地に達した人が、戦場で大勢の兵を率いる事が出来る。偽善者やニセ政治家は、こういう人の真似をするだけ。
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戦争の問題よりも、日本人と日本社会について極めて的確な考察です。何度でも読み返して、深く身に付けたい内容のある一冊です。