2017年06月25日

GRIT(グリット) ー やり抜く力 アンジェラ・ダックワース

成功に必要なのは才能だけでなく努力と継続だ。

「継続は力なり」「石の上にも三年」〜日本ではこのような表現で伝わっている教えです。本書では、その力を「GRIT」=やり抜く力、と呼びます。
著者は、米国で「天才賞」と呼ばれるマッカーサー賞を受賞したペンシルベニア大学の心理学教授とのこと。以下メモ。
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●才能か努力か
多くの人は努力より才能の方を重視し、神格化さえしている。しかし、才能があっても努力しなければスキルは身につかず、さらに身につけたスキルを使って粘り強く継続しなければ成功は難しい。

ものすごく頑張る、いま必死にやる・・はGRITではない。
粘り強く続ける、明日も継続する、失敗してもまたトライするのがGRIT。

●継続するには動機の持続性が大事
そのためには哲学(世界観と言っても良い)が必要・・自分にとっての究極の関心事・今日やることの上位に、そのさらに上位に位置する最上位の目標は何か?
遠い目標に連なる手前の目標が、最終目的を支えるピラミッド構造だと良い。(究極の目標と、今日の目標がリンクしていないような構造は望ましくない)

例えば、歴史に残る大聖堂を作って神の栄光を讃えるためレンガを積むのか、明日の食料を買うために賃仕事としてレンガを積むのか。

●成功者の条件
・遠くの目標が視野に入っている
・いったん取り組んだことを簡単にやめない、目新しいことに気まぐれに飛びつかない
・粘り強く、根気がある

メガ成功者は、他者・利他・人々のため・世界のため・この仕事は意義があるか・役に立っているか?を最終目標にしている。

●GRITを育てる
・その人が育つ時代の社会的、文化的背景も影響する(家庭環境も?)
・遺伝と経験の両方が影響するが、GRITに影響する遺伝子は複数ある
・年齢とともに成熟するとGRITが強くなる傾向がある
・興味が大事で、好きになれることは継続できる(親は子供の興味に注目すべき)
・練習を続けること、目的を持つこと、希望を持つこと

●子育て・人材育成
・子供には高い期待と関心、併せて惜しみない支援を与えること
・大変だが楽しい、やりがいのある事を経験させる(大変だけ、楽しいだけ、はダメ)
・最低でも2年以上、何らかの「課外活動」をさせる
・偉大なチーム、GRITの強い集団に加わる(やがて集団の価値観が個人の信念になる)

GRITは人生に最も大切なことではない。履歴書に書く長所より追悼文に書く長所(善良さ、道徳心、思いやりなど)を伸ばすべき。ただし、GRITの強い人ほど、人生における幸福感や健康に恵まれている場合が多い。
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努力と継続。

「7つの習慣」を読んだ時にも思ったのですが、日本ではわりと当たり前・・ここまで言葉化、理論化、科学的エビデンス付きになっていないけど昔からみんな知っている事ではないのか。
むろん、知っていることと出来ていること(更には「なっている」こと)には遥かな距離があるので、本書のように「やり抜く力」の構成要素や育て方まで体系的にまとめて貰えたのはありがたいと思います。

特に感銘をうけたのは第4章で、努力を継続するための意味付け=哲学が大事としている部分です。
「世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう:奥山真司著」でも、世界観・価値観がトップにあって、それを実現するために戦略→戦術→技術が階層構造で存在すると説いていますが、GRITな人であるためにも、やはり頂点に「究極の目標」を置くべきとしています。
人は、人生のいずれかの時点で「自分にとっての究極の目標は何か」「自分にとっての最高の価値は何か」について、答えを出しておくべきであると思います。

読むべし!





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2017年06月16日

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 草薙龍瞬

著者は仏教者であるが、特定の宗派に属さない独立派≠フ出家僧・・とのことで、書籍や講演を通じ、宗教としてではなく「現実の問題解決に役立つ合理的な方法」として仏教を紹介している。

本書は、人生における苦悩の原因が「心の無駄な反応」から起こる事を示し、反応しない方法・合理的な考え方を身に着けることで、苦痛から解放された有意義な生き方ができると説きます。以下メモ。

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●認める・正しく理解する

人生に苦悩はある。無くそうとしないで「ある」と認めてしまう。そのうえで、苦を減らす・無くす方法を実践する。

苦悩の正体は、心の自動的な反応である。心は様々な欲求(食欲・性欲・睡眠欲・・・承認欲求など)を求め、できごとに常に勝手に反応し、無用なストレスや「妄想」を生産しつづける。したがって、心の無駄な反応を消すことができれば、苦悩は減ってゆく。

そのために、心の仕組みを理解し、反応せず、正しく合理的な考え方をする。例えば、次のような方法がある。

1)ラベリング
心の状態を言葉で言う。言うことで曖昧な心の状態を明確化する。正しく理解する。
例:わたしは怒っているな。わたしは悲しいな。これは承認欲求が満たされない不満だな・・など。そして、例えば承認欲求だったら「他人に承認されたとして、それに何の意味があるのか?」と考えてみる。

2)身体感覚に目を向ける
身体の快適な状態を作る、意識して呼吸する、一歩一歩確認しながら散歩するなど・・・苦悩の正体は、心の反応が作り出す妄想(実体のないもの)なので、身体という実体のあるものに意識を向けると反応が消えてゆく。

3)分類する
反応は、概ね次の3つに分けられる。ラベリングと似た手法。
・貪欲(「とんよく」欲しい欲しいという貪る心。手に入れたい、失いたくない・・・しかし、けして望むようにはいかない=「苦」のもと)
・怒り(思い通りにならない、期待通りに行かない物事への反応・・・しかし、そもそも人生は思い通りにならない=「苦」のもと ※悲しみも怒りの一種)
・妄想(人と比較して優れている・劣っているなどと考える評価・判断など)

●判断しない
良し悪し、好き嫌いを考えない。ありのままに見る、受け入れる。
1)あ、いま判断した、と気づく
2)自分は自分と考える
3)素直になる

他人と比較しない。
欲求のうちで、特に承認(認められたい、自分もひとかどのものであると自負したい)欲求は強く、人と競ったり、自己否定に走ったり、さまざまな苦悩の種になる。
比較も判断であり妄想。自分は自分。自分のものごとに集中する。

他人と比べるのではなく、自分の道を見つけ、自分のものごとに集中して、納得と満足のある人生を生きるべき。勝ち負けではなく、いかに貢献できるか(お役に立てればよし、の心)に注力すべき。

どんなときも自分を否定しない。「わたしはわたしを肯定する」

●反応の源泉を断つ
困った人とは縁を切る、距離を置く。

●自分の道を歩く
そのために道の基礎・自分の哲学を持つ。慈悲喜捨で生きる。
慈:人にやさしくする
悲:他者の悲しみをともに悲しみ
喜:他者の喜びをともに喜ぶ
捨:無駄な反応を捨てる

今できることをする・集中する。
人生を信頼し、最高の納得をめざす。
・・・

他人と優劣を比べたり、欲望に反応して苦しむ生き方を手放し、自分のすべきこと、今できることに集中して、満足や納得のある人生を目指しましょう、と説きます。たしかに、仏事だの法要だのとは違う、生活に根ざした、より良い人生を生きるための、きわめて実用的で技術的な内容です。

様々な哲学書や、あるいはビジネス書でも、「世のため」「人のため」「貢献」を最終目標に据えるものは多いです。人間は、自分の欲求を満たすためだけに生きても、人生に於ける高度な意義や満足は得られないのかもしれません。
じっさい、年齢とともに肉体の活動が衰えてくると、自分の欲求自体が減ってきますし、その段階で生きる意味や情熱を維持するためには、最終目的を自分を超えた場所に置くべきだというのは納得します。まあそれも、究極の「自己満足」だと言えるかもしれませんが。

良書です。こころのエクササイズができます。

読むべし!

posted by 武道JAPAN at 17:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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