2011年07月31日

「官僚は犯罪者」は世界の常識 高山正之

著者は辛口かつ切れ味鋭い評論で知られるジャーナリストの高山正之氏。元産経新聞記者。「アメリカ依存ではない保守」という立場と見えます。そして、この立ち位置がもっとも正しい姿勢と思う。

本書でも、日本は素晴らしい国で国民は一流だが国を蝕む勢力が3つある、として官僚・学者・マスメディアを痛烈に批判。特に官僚の成り立ちについての論がとても面白い。以下メモ。

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官僚は明治期に生まれた。それ以前は、高い徳育を受けたサムライ達がその任に当たっており、私利よりも徳義が重んじられた。明治維新と共に足軽(一般人)が官僚に登用されると、他の国と同じように役人の腐敗が始まった。
明治政府のモラルの低さに愛想をつかした西郷隆盛や江藤新平は下野し、最後は殺されてしまった。明治20年頃には、それまで不要だった「官吏服務紀律」ができたが、ここには官僚の腐敗を戒める条文が並んでいる。

官僚というものは社会を維持する必要悪であり、ほうっておけば腐敗し、国に寄生するようになる。働かず、私欲に走る。だから米国では役人は最低賃金に据え置き優遇しない。優秀な者は民間企業で活躍する。

官僚機構をのさばらせると国力が衰退する。それを理解していたマッカーサーは、戦後、元老院・宮家を廃止したのに、官僚機構はそのまま残した。日本から力を削ぐための仕掛けだった。抑えるものが消えて権力のトップに浮上した官僚機構はそのまま肥え太って日本社会にタカリ続けている。

日本には「官僚は優秀で潔白」という虚妄があるが、日本の官僚が優秀だった実績はない。戦後の復興も民間の活躍によるもので、護送船団方式などは嘘。
レーダーやステルス、光ファイバー、パソコンのCPUなど、日本の技術で発明されたのに他国に技術を盗まれ特許を簒奪され、ノーベル賞まで持っていかれた事例は枚挙に暇がない。それに対し、特許庁も外務官僚も日本の成果が奪われるままに放置し何もしない。

官僚にとって日本国家は寄生する対象。宿主が死んでは困るので揉め事を起こさぬよう何でも穏便に図る。国家の威信などどうでも良い。尖閣諸島でも拉致問題でも、日本が毅然とした行動を取れないのは国家の寄生虫が蔓延っているから。
北京あたりで賄賂を受け取って豪勢な暮らしができればよいので、相手方の言うことは言いなりに聞く。どうせ自分の金ではないから、金で解決できるなら出す。

犯罪多発地区を抱える人口400万のロスアンゼルス市議会は議員15人で運営している。東京は人口比で言えば45人で足りるはずだが127人もいる。さらに区議も入れると2500人。区議の報酬は新人でも企業の部長級だが、たいした仕事はない。いかに国力を吸い取るか。

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身分が低く教養のない足軽が明治政府の要職に就くと、当時の知識人であった(元)武士階級は新聞を作り「この無教養で下劣な足軽どもめが」と政府を批判した。この、政府を見下す新聞の伝統が、変形して現在まで残っている。
朝日新聞は、日本は非道な国でアジアでたくさんの罪を犯した・・という立場を常にとり、「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」など、捏造記事を量産しバレても訂正しない。

その朝日新聞とタッグを組んで自虐史観の蔓延に手を貸した御用学者の家永三郎、吉見義明、後藤乾一や、日本の歴史をゆがめた南原繁、網野善彦、藤原彰など、日本を嫌い、日本を貶めることに血道をあげる学者たちがある。

NHKは報道機関というより官僚。国民から徴収したお金で贅沢な取材用車両や豪勢な弁当をまかない短い記事を書くだけ。報道内容について中韓から抗議があると事実関係そっちのけで事なかれ主義に徹する。ジャーナリズムとはいえない。
(参考→NHKの正体―情報統制で国民に銃を向ける、報道テロリズム

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と、官僚支配・学者・マスメディアに痛烈な批判を加えています。「舌鋒鋭い」とはこのこと・・という調子でバッサバッサと斬ります。痛快です。官僚に国家の運営を任せる危険がよく判ります。

最近の政治状況を見ると、震災復興を増税の口実にしたい財務省に対し、政治の側から反攻が起こってきつつあるようです。我々は、この国のコントロール権を官僚たちの支配から国民に選ばれた政治家に戻さなくてはなりません。
なぜなら、現在のような危機(震災だけでなく、国家財政・少子高齢化・東アジアの勢力図変化など)の際には強いリーダーシップによる変革が必要ですが、官僚は仕組み(省庁タテワリ=天下国家の視点がない)から言っても、立場(そもそも官僚は国家の行方を左右する権利はない。選挙で選ばれ、失敗したら次の選挙で落とされる政治家と違い、国民からは顔も名前を見えないところでうごめき、失敗しても責任を取らずクビにならない)からいっても、国家運営のハンドルを握るべき存在ではありません。

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2011年07月24日

この国の「問題点」 〜続・上杉隆の40字で答えなさい〜 上杉 隆

先月(?)の「朝まで生テレビ」に出演していた著者の、醒めた、しかし適確な物言いが面白くて本書を買ってみた。

著者の上杉氏は、NHK記者→鳩山邦夫の秘書→NYタイムス日本支社を経てフリーとなり、自由報道協会を設立。ツイッターやネットメディアでの発信が多い。

タイトル通り、フリージャーナリストである著者が、この国(および若干、世界)の「問題点」に一問一答形式で答えてゆく。なぜ40字なのかは不明だが、一見ややこしいヨノナカの問題を短くまとめてズバリ言い切るところは痛快。思わず笑う回答もあります。

さまざまな「問題点」を取り上げていますが、特に記者クラブに対して強い批判を展開します。

・大企業や政府・官公庁の記者会見に必ず参加できるのは大手マスコミで構成される記者クラブに限定される。これは日本にしかない特殊な慣行。原発事故などの重要な政府広報も独占し、フリージャーナリストや海外メディアを排除する。

・だがその記者クラブは、情報の発信側(大企業や官僚組織)との癒着が強く(公的機関が光熱費持ちで記者室を提供したり、記者を接待したりする)不都合な記事は書かない。書くとクラブからはずされる。またサラリーマンであるゆえに所属する会社の意向に沿わない記事は書けない。

・つまり本来のジャーナリズムからは掛け離れた、権力側の単なる広報機関に成りさがっているのが実態。しかし日頃TVや新聞というメジャーなメディアから流れるのはこういった「大本営発表」のような情報ばかり。記者クラブ制度、およびそれに代表される「健全な現場の若い声を、老朽化した組織システムが阻害してしまう」仕組みが、この国の根源的な「問題点」。

また、NYタイムスの記者であった経験からか、他国で流通しているニュースと日本のそれに格差を見いだしています。

ロシア政経ジャーナル」の北野氏によると、世界にはいくつかの情報ピラミッド(米英・欧州・クレムリン・イスラム・中国情報ピラミッド)があり、日本は英米ピラミッドの末端に位置しているとのこと。なるほど例えば次のような上杉氏の指摘と符合します。

・日本(と米国)では、アルジャジーラはイスラムテロ組織のプロパガンダ機関のように思われているが、世界では最もフリーで公平な報道機関のひとつと見られており、中東のCNNとも呼ばれている。

・ウィキリークスも日本(と米国)では批判的に見られるが、世界では創始者のジュリアン・アサンジをノーベル賞に推す動きもある。

・格付け機関は米国の一私企業に過ぎず、格付けの基準は概ね恣意的なもの。マジレスするのは日本だけ。

・今後、世界は水資源をめぐる激烈な競争に突入するが、日本は森林と水に恵まれており政府も市民も気づいてない。気づいていないうちに外国資本が森林を買い占めている。

それから、国家を運営する「予算」がいかに組み立てられるのか、なぜ「政治主導」が機能しないのか・・・についても、40字の簡潔な説明から、様々な問題が解けてきます。

・予算はタワーを建てるように各省庁でボトムアップ式に作られる。役所は、自分たちに必要な予算を積上げるため、規模は年々大きくなる。
1年がかりで編成された予算が閣議に上がってくる段階では、もはや本当に必要かどうかを判断する機会はない。「事業仕分け」で多少切ってみても枝葉のこと(ただし役人を公開の場に引き出すことは意味がある)。予算編成権(および人事権)を政治の手に戻さないと本質は変えられない。

・政策もボトムアップ式にあがってくる。その過程で調整を経て、事務次官会議(役所のトップ同士の話し合い)で決定され、閣議では承認されるだけ。つまり、政府ではなく役人が作り、役人が決めている。
民主党は、いったんは事務次官会議を廃止し、あがってきた政策に政治家が注文を付ける「政治主導」を行おうとしたが、手間隙かけて調整した内容がオシャカになるため役人が抵抗し、けっきょく元に戻されてしまった。

・・と、日本では議院内閣制の仕組みが正しく運用されず、議論の場であるはずの国会が、役人の作った法案を承認する儀式と化している実態を指摘します。

本来は、国民によって選ばれた政治家が政策を立案し、法案を作って審議し、そこで決まったものを役人が手足となって実行する・・この役割が逆転しています。これでは、国民のための政治が行われるはずはない。役人のための、役人に都合の良い政治が行われて当然です。「日本の統治構造」の著者、飯尾潤氏は、これを「官僚内閣制」と呼んで批判しています。


たくさんある話題の中からごく一部を取り上げましたが、簡潔に読めるわりに本質を突いた指摘が多く面白いです。政財界と癒着してしまい、ジャーナリズム本来の切れ味を発揮できない大手マスコミ以外の視点として参考にしておいて良いと思います。

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2011年07月16日

いまアメリカで起きている本当のこと 日高義樹

著者は米国在住のジャーナリスト。テレビ東京系「日高義樹のワシントン・リポート」が有名。NHKニューヨーク支局長を経て、ハドソン研究所首席研究員。

保守系シンクタンクとして知られるハドソン研究所にいるだけあって、立場は共和党寄り。歴代の民主党政権は失敗ばかりと批判。ブッシュのイラク戦を正当化し、オバマのアフガン戦は意味不明とするなど、あきらかな偏りは見られるものの、「米国の保守派から見えるアメリカと世界」という視点を知るには良い一冊です。日本国内では流通しないリアルな情報も詰まっています。

民主党の社会主義的なバラマキ政策が批判されてオバマは中間選挙で大敗し議会はねじれ現象、しかし保守陣営もこれといった有力候補者が見当たらないようです・・なんか日本とそっくりじゃない?と笑います。以下メモ。

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●米中衝突
米国内ではオバマの失政に不満が高まり、保守派の力が台頭している。オバマも再選に向けて保守的な傾向を強めてはいるが、今後の選挙で民主党が勝てる見込みは小さい。
オバマ政権の2年間は中国に対して宥和的で、甘やかしたために増長を招いた。中国人は黒人を一段低く見るため、オバマ大統領を軽んじた。今後は米中対立の方向が出てくる。中国に進出した企業はダメージを蒙る可能性がある。日本も米中衝突のはざまで、いかに生き残るかを考えなくてはならない。

●日米関係
日本の民主党政権は米国との関係を徹底的に悪くした。内向きの理屈が世界に通用すると勘違いし、安全保障面を大幅に依存している米国と「対等」の関係を求め、中国に擦り寄った。現下の世界においては、現実的に国家が存在と存続の単位である。その国家の安全保障について何の構想も戦略も持たない政権を米国は信用できない。
前原誠司前外相が新幹線を売り込みに行っても「国家間の約束事(核持込の機密暴露・基地問題)をひっくり返した政党が何をしに来たんだ」という扱い(当たり前)。

●オフショア戦略
中国の軍事力増強に対する新たな戦略は「オフショア」。機動力や遠隔コントロール技術の向上により、紛争地域の近くに基地を置く必要が消えた。グアムあたりに引き、中国のミサイルが届かない遠隔地から中国本土を叩く。アフガンで実証された無人偵察機の能力も向上している。(管理人:ということは沖縄に基地がある必然性は無いはず。多額のお金を払ってでも沖縄に米軍がいてほしいのは日本の事情。中国や北朝鮮を牽制するため)

●ドル離れ
米国内においてもドルに対する信任が失われつつある。もともと米国人は、それほどドルを妄信していないし、中央銀行のことも信じていない。「ドル離れ」の裏で、州独自の地域通貨実験や、金本位制への動きもある。
大統領によりドルの無効化が宣言され、世界一の金保有を背景に、ゴールドに裏付けられた新しい通貨に切り替えられる可能性もある。(管理人:金・ドルの兌換停止も突然だったわけだし、あり得るのか)

●エネルギー政策の変更
地下2000mのオイルシェールを天然ガス化する技術を完成した(シェールガス革命)。オイルシェールの埋蔵量は原油の2〜3倍。米国だけでなくブラジルなどの地下に大量に眠っている。向こう数十年はエネルギーに困らない。これにより、今まで推進してきた原子力をどうするか迷いはじめた。(管理人:GEと結んだ日立、ウェスティングハウスを買収した東芝の運命は?)

●中国のアフリカ進出
中国は1960年代からアフリカに進出。タンザニア・ザンビア鉄道の建設など積極的に援助してきた。欧州の植民地でしかなかったアフリカに初めて産業の芽が生まれた。
いっぽう、三狭ダムで追い出された数百万の農民をアフリカに送ったため、土地を奪われたアフリカの人々が反対運動を始めている。かつての帝国主義型植民地侵略と同じ構図が起こっている。

●人民解放軍の増長
中国の一般民衆が腐敗した共産党に見切りをつけ軍人に期待を持ち始めているため、共産党が軍を抑えきれなくなってきている。2.26事件〜戦争へと進んでいった、かつての日本と似た状況になっている。
ただし中国の軍事力は張子の虎。核兵器を除けば、通常の陸・海・空軍では日本の自衛隊にも勝てない。まして米軍に追いつくのは、はるか先。中国の長距離ミサイルでは、防御・攻撃機能を備えた米空母を攻撃できない。ただし、サイバー戦争には注意が必要。

●イノベーションの力
米国パワーの源泉は大学発の技術開発力。柔軟な発想で新しいコンセプト、技術、仕組みを生み出し、困難を切り抜けてゆく。中国は模倣はできてもイノベーションの力は弱い。両者の逆転は簡単に起こらない。
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と、安直な米国衰退論を退けます。

中国はまだ成長するでしょうが、今後も当分の間、世界でもっとも精強な国はアメリカであり続けるでしょう。目先の「米国衰退」「中国台頭」論に惑わされて、日米関係をおろそかにし中国につこうと軽挙妄動すれば共産党政府の思うつぼです。

とはいえ、米国も(他の全ての国と同様)自国の国益を最優先に動きます。損得を超えた友情というものは個人間にしか成立しないので、このあたりを混同してはなりません。
本書には、米国が冷戦時代と違い極東地域の安全保障をアメリカ一国が負う必要はないと考え始めている、とも書かれています。シェールガス革命によってエネルギー資源を手に入れ、食料は自国でふんだんに生産できる米国が、いつまで警察としてアジアにいる必要があるでしょうか?日本は日本として、何が自分たちにとって最善なのか・・をよく議論し見極める必要があります。そのためにも、本書のようにリアルな情報を知りましょう。

米国の保守派、という観点が色濃く出た論調ですが、長年ワシントンに拠点を持って活動する著者ならではの手応えある一冊です。日本のマスコミから流れてくる低レベルで薄味の情報とは較べものになりません。

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posted by 武道JAPAN at 15:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録(政治経済) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月07日

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で 水村 美苗

読了してからブログに書くまで時間が掛かってしまった。
あまりに重要な問題が提示されており、その危険性をどう表現したものか今もわからない。

とにかく「本気」の本である。ぜひ読んでもらいたい。読む価値が極めて・・きわめて、高い。そして、この危機感を共有してほしいと、切に願う。

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世界には元来、「普遍語」と「現地語」のふたつしかなかった。

「普遍語」とは学問の言葉(主として書き言葉)であり、国や地域を越えて、科学や芸術などの「叡智」が蓄えられるデータベース。代表的な「普遍語」は、西洋であればラテン語、イスラム世界ではアラビア語、アジアでは漢語。対する「現地語」は、生活のための言語(主に話し言葉)。

「学問をする」「叡智を求める」とは、二重言語者として「普遍語」の知識にアクセスすることだった。かつて日本の知識人は、漢語で書かれた書物を読み、漢文を記した。

近代になって、そのハザマに「国語」が生まれた。
国民国家の成立とともに、国語の整備は盛んになり、本来「現地語」に過ぎなかった言葉で学問をし、科学を学び、文学を顕すことが可能になった。
日本は、いち早く対応した。大学は巨大な翻訳機関となって西洋からの新知識をせっせと日本語の中に取り込み、日本近代文学は世界で「主要な文学のひとつ」と見なされるほどに興隆した。

「国語の祝祭」とも言うべき時代が訪れ、そして終焉した。いまや世界は単一の普遍語である英語と、その他の現地語に収斂しようとしている。「国語」として栄えた言葉たちは、徐々に「現地語」へと押し戻されつつある。

グローバル化とインターネットの普及により、英語=世界普遍語の不動の地位は、ますます加速する。米国が衰退し中国が大国化したとて、世界中の科学・文学が中国語に置き換わる事態は起きない。
今後、主要な科学や文学は英語で表現され、「叡智を求めるものたち」は英語世界に吸収されてゆく。日本においても、減少する人口がこの傾向に拍車をかける。日本語では1億人にしか通じないものを、もし英語で発表できれば数倍〜数十倍のユーザーに届けられる。世界に通じる有為な人材ほどこの傾向に惹き付けられる。
結果、日本語で発表される「書き物」は、相対的にレベルの低いものに落ちぶれてゆく。漢語にアクセスする者が減り、やがて専門家のみが出入りするクモの巣が張った図書館に成り果てたのと同じ。

これまで日本語は、庇護を必要としなかった。日本の国力と人口が、日本語の「国語」としての地位を支えた。しかし、これからは意図的に、(しかも相当な覚悟を持って)日本語を護る、という決意が要る。さもなくば日本語は衰退し、我々の子孫は、近い未来に漱石や鴎外を読めなくなっているだろう。

国益の点からも英語普遍語化への対策は急務。
現下の世界においては英語での情報発信が死活的に重要。日本人の下手糞な英語が、外交・貿易その他の場面でどれほど日本の利益を毀損しているか枚挙に暇がない。

ヨーロッパ語と英語は親戚関係にあるため、西洋諸国人が英語を習得することは我々ほど困難でないが、言語の成り立ちが根本的に違うアジア、特に日本においては戦略が要る。

国民全員バイリンガル戦略は悪しき平等思想であり、幼児からの英語教育には反対。真に必要なのは英語で重要なメッセージを発信できる少数の専門家養成。
むしろ、国語の授業時間を増やし、覚悟を持って日本語を護る気概が必要。

・・・

と、長いスパンで地球に起こっていることを俯瞰させてくれます。

国益とは別に、文化の問題もありそうです。
我々は言語にない概念については思考しにくい。英語に翻訳が困難な、日本語に特有の概念、例えば近年世界的に有名になった「もったいない」などは、日本的な美徳が結集した言葉=概念だと思いますが、日本語が劣化すれば、そういった「日本的なセンス」〜これからの世界に、きっと必要な智慧〜が消えてしまうのではないか?と危惧されます。

生物界では、疫病が流行したときに、多様な種がいれば全滅はしない。どれかが生き伸びてまた繁殖する。多様性がリスクヘッジになっている。
もし世界の言語空間、思考空間が英語という単一種になってしまったとき、地球の文明は弱体化をはじめるのではないでしょうか?そのためにも、我々しか守り手のいない日本語を、なんとしても守らねばなりません。

本書で提起されているのは、経済や戦争、テロや環境汚染といった見えやすい危機ではない。しかし、もしかすると日本と日本人にとって(あるいは世界にとって)遥かに致命的な危機かもしれない

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2011年07月03日

これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本 高橋洋一

著者の高橋氏は、、現在ベストセラーになっている「日本中枢の崩壊」を著した古賀茂明氏と同様、改革を志した挙句に霞ヶ関を追われた元官僚。
東大理学部数学科を出たのち東大経済学部に再入学、卒業後に大蔵省(当時)に入省。小泉政権で政治任用されて一連の構造改革を手がけた。研究者としてプリンストン大学に在職中、後にFRB議長となるベン・バーナンキに学び、金融政策にも詳しい。
「埋蔵金」を発掘するなどしたため財務省から敵視され、霞ヶ関を去った。(その辺りの経緯は「さらば財務省!」に詳しい)

本書では、特に震災後をふまえた日本経済の問題解決を論じます。以下メモ。

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現行の「災害復旧負担法」では、元の状態への「復帰」が原則。だが今回は、元通りにするのではなく新しいグランドデザインが必要。より国際競争力のある新しいインフラを作るためにも、まずこの枠組みの撤廃を。

復興には財源が必要。逐次小出しはダメ。20〜30兆円ほどを一気に手当てし、多すぎれば後に減額するくらいで良い。
予算の使い方は新設する「東北復興院」に思い切って権限委譲する。復興院のトップは、復興後に「東北州」の首長になると良い。

財源確保に増税は絶対ダメ。震災のダメージに追い討ちをかける。100年に一度の事態には、負担を時間軸で平準化できる国債発行→日銀引受け+埋蔵金で手当てすべし。

国債の日銀引受けは「禁じ手」と言われるが、「特別な事由」がある場合には国会の決議により引受けさせることができる。
日本は震災前からデフレであり、通貨供給量を増やしてインフレ方向に導くためにも、円安方向に導いて輸出産業の息を吹き返すためにも、日銀引受けは効果的。

そもそも、実は国債の日銀引受けは毎年一定額行っている。財務省や日銀は、「それは日銀が既に保有する国債の満期に伴う借り換えだけ」と言うが、現在日銀が保有する国債の償還額は30兆円、対して今年度予算では12兆円しか買わない。つまりあと18兆円引受けできる。なのに増税を優先する。

「復興構想会議」は増税をもくろむ財務省に操られている。議長の五百旗頭(いおきべ)氏は、政治・歴史学者であり経済の専門家ではない。それが、復興のアウトラインも決まらぬうちから「増税」を言い出した。管政権が終わっても、後継候補の野田財務相や仙石副長官、与謝野経済財政相、自民党谷垣氏などみな増税路線。

菅首相が支持率回復したければ有効なカードは「増税なし」「東電解体」「脱原発」。一番容易な「脱原発」ポーズを浜岡原発停止で始めた。

かつて日本軍は「兵は一流、将校は三流」と言われたが現在も同じ。自衛隊や消防庁、現場で頑張る被災者達は素晴らしいのに、政治は三流芝居。特に政治家の資質が劣化し官僚に負けている。

官民癒着構造が国民不在の政治を作り出している。
経産省から東電に多数の天下りがある。原子力安全・保安院は経産省の植民地。天下りは官僚が二重三重に収入を得るだけでなく、監督する側と規制される側が癒着し、チェック機能が壊れる。原発事故の遠因もここにある。天下り根絶はこの観点からも必要。

日銀にも財務省から天下りがある。財務省の増税路線にとって日銀の低金利・低成長は好都合。(もちろん国民には良くない)

リーマンショック後、各国は通貨供給量を増やしたが日銀はほとんど増やしていないため円高。つねに円高圧力がある。震災後、1ドル76円という急激な円高局面があったが、投機筋にそこを狙われたのではないか?

政府の東電救済スキームでは国民負担が最大化する懸念がある。解体し、発電送電の分離が望ましい。震災の起きた3月11日に閣議決定された電力買取法案が成立すれば、発電事業に他業種からの参入が起こり、電力料金が安くなる仕組みがスタートする。

・・・

などなど、構造改革をすすめて成長の種を作り出し、既得権集団を解体して国民のための政治・行政が行われる道筋を主張しています。元官僚だけに、役人のずるい手口を知悉しています。役人が天下りしたがる当たり前の構図もさばさば書いています。

「これからの日本経済の大問題がすっきり解ける」と題したわりに、途中重複する部分も多く、やや軽量級な印象ですが、構造改革・規制緩和・公務員制度改革をすすめ、政治でも行政でも産業分野でも古い手法にしがみつく既得権益集団を排し、新しい産業を興す・・衰退を受け入れるのではなく成長する方策を探し求める、との方向性には大いに賛成です。

「もうこれ以上日本は成長しない」と諦めてしまえば、社会保障を賄うために増税し、皆で窮屈な生活に耐えていく未来しか描けません。子供たち世代にそんな未来を残すわけにはいきませんし、諦めるのは早すぎます。世界中、問題を抱えていない国などないし、他の多くの国と比べて我々は遙かに恵まれた条件を持っています。まずは、お上任せにしないで国民が情報リテラシーを磨き、正しい判断力を持ちましょう。

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